主の独り言

2022.07.07

ばるぼら 手塚眞

原作手塚治虫の作品を息子である手塚眞が映像化した作品。
一言集約するとしたら、
二階堂ふみの裸が美しい、
これに尽きる。

そしてその美しさを撮影したのが、有名撮影監督のクリストファー・ドイル。
ドイルの映像はほんと美しい。

ウォン・カーウァイ監督作品の
欲望の翼花様年華2046もドイルが撮っている。
オダギリジョー監督のある船頭の話もそう。
どれも一級品の映像だと個人的には思っている。

さて本作だが、
稲垣吾郎演じる売れっ子作家。
大衆受けするだけで、作家としての凄みに到達できていない認識から生まれる苦しみが幻想を出現させ続ける。
そこに登場するのが、二階堂ふみ扮するばるぼらという女性。
彼女は異質である。ラカンの大文字の他者が存在しないかのように振る舞い続ける。

作家は、彼女を称してミューズと喩える。
ミューズとは芸術の女神。

作家はミューズであるばるぼらに見初められるのだが、失うものもとても大きかった。

お金、地位や名誉、そして将来の安泰を作家は失う。

しかし、リビドーを昇華して書き始めた作品“ばるぼら”は、多くの人々の心を揺り動かす作品となるのだろう(たぶん)。そして作家は書き終え死ぬと感じている。

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