主の独り言

2020.12.23

ある船頭の話 オダギリ・ジョー

圧倒的な映像美。日本の原風景の美しさにため息が出る。
さらに映像にマッチしたBGMが物語に深淵さを加えている。

監督は、俳優のオダギリ・ジョー。オダギリ・ジョーと言えば、僕の中では平成仮面ライダー1回目のクウガ。これは名作だった。

さて、そんなオダギリ・ジョーの長編初監督作品。明治後期か大正時代の川沿いの農村部が舞台。村と町とを隔てる大河を渡す、渡し舟の船頭が主人公。
建設中の橋が完成してしまえば、自分の仕事はなくなる。便利なものに駆逐される。台詞から船頭の心の葛藤が読み取れる。

風がこの映画のポイント。風は様々な物を運んで来る。それは幸も不幸も平等に運んで来る。

船頭の変わらぬ日常に不幸という変化をもたらしたのも風。生き甲斐となる物を運んで来たのも風。

船頭の変化、村民の変化をよそに、大河(時間)は変わらず流れ続けている。
川の音が諸行無常の鐘の音を表しているのだろう。

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