主の独り言
2021.09.01
8 1/2 フェデリコ・フェリーニ
仕事や私生活が上手くいかず、精神と身体に異常をきたし療養に温泉地に来た映画監督が主人公。
せっかく療養に来たのにも関わらず、次の映画の制作を急かすプロデューサーや俳優たち。さらに不倫相手も押しかけ、奥さんも登場。
追い込まれた主人公の精神は、益々現実から離れ幻想に支配されていく。
幻想には、幼少期の母との記憶、コンプレックス、欲望などがごっちゃ混ぜで突拍子もない
内的必然、
という言葉がある。坂口安吾の堕落論の中にも言及されていたと記憶しているが、正に内的必然であると主人公の置かれた状況を見て感じる。
ラスト、主人公も全ては己の責任である事に気づく。幸福も既にそばにあった事も気づく。
しかし時既に遅し、気づいたのは自殺を図った後の走馬灯の中なのであった。
フェデリコ・フェリーニ監督の甘い生活を観てからの方がより世界観がわかるだろう。