主の独り言
2021.09.24
パリ、テキサス ヴィム・ヴェンダース
砂漠を彷徨う一人の男。彼は言葉を発しない。命を救ってくれた医者にも、実の弟にも。しごく厭世的な人物。
彼が失踪した4年間に何があったのか・・
なぜここまで厭世的なのか-・・
これらがセントラルクエスチョンとなり、視聴者を惹きつける。
物それ自体の名称に本質的な意味がない事を示したのが言語学者のソシュール。男が一切言葉を発しないというのは、男にとって世界は全く意味のない虚無である事を示しているのだろう。
男の亡くなった父親の資質も受け継いだ事を自認した上での最後の選択には涙を禁じ得ない。
ヴェンダースの代表作であり、パルムドール受賞作品。
男女の距離感、人との距離感の映し方が監督はホント上手だと思う。
忘れられない映画となった。
そういえば、ヴェンダースの敬愛している小津安二郎監督も人との距離感を映すのが上手い監督だった。
近々小津映画も楽しもうと思う。
