主の独り言

2021.09.16

桜桃の味 アッバス・キアロスタミ

殺風景なイランの砂漠風景が一転し緑豊かな笑い声のあふれる風景に変わる。
このラストに衝撃を受けた。一瞬意味不明であったが数秒後身体から湧き上がる情動で、頭が意味を理解するともう涙が止まらなくなってしまった。

主人公から愛別離苦と死苦が哀愁と共に伝わってくる。彼個人の苦しみの原因が具体化されない為に、視聴する自分の勝手な解釈で投影が起こり気持ちが持っていかれる。
そして、厭世的な状態の主人公が、出逢った老人の言葉から変化が現れてくると、もう自分の事の様に思えてしまうから不思議だ。

1997年パルムドールを受賞したイラン映画。これは凄まじい映画だ。

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