主の独り言

2021.04.08

異端の鳥 ヴァーツラフ・マルホウル

少年(小学3、4年生か)が犬を抱え必死に逃げている。大人数の青年や大人達に追いかけられ、そして暴行を受け犬が焼死させられる。

衝撃的なシーンから始まるこの映画に心を奪われる。

第二次世界大戦中のヨーロッパのどこかの村。
ナチスドイツによるホロコーストを逃れた(親が少年だけ疎開させた)少年の生き抜く様が映し出されている。

自室で靴を磨いたり、衣服を綺麗に畳んだり、ピアノ演奏ができたり。裕福な家庭で生まれ育った事が垣間見られる。

目が黒く、髪が黒く、ユダヤの特徴を持つその少年に飢えた大人たちは、憎悪の対象として虐待をする。
悪魔祓い(シャーマン)の老女、小児性愛の男、色魔の女など、少年を虐げる凄まじいキャラクターの人物たち。

ひたすら虐げられる少年。あまりの過酷さから解離症状がひきおこされる。

救いは一切ない。あるとするならば、ラスト2秒のシーンだけ。
セリーヌの名著 夜の果ての旅の様な世界観だ。

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