主の独り言

2021.08.22

ベルリン天使の詩 ヴィム・ヴェンダース

東西分裂のドイツベルリン。中年のおっさんの天使が人間たちを見つめている。
彼らの仕事は、人間たちの発する言葉や出来事を日記に記録すること。人類誕生前の黎明期の事も昨日のことの様に話している(時間的概念がないのかもしれない)。

とある天使は、天使で居続けることに疑問を感じ人間に興味を持つ。

人間には、五感があり、感情があり、苦しみや悲しみ楽しさや喜び、夢や希望、愛や絶望など生を実感できるからなのだろう。

ヒロインの夢(過去把持)から、人間となった天使との出逢いと邂逅。詩情に満ちた言葉の数々が美しい。

夢の場で天使とヒロインは共有体験をした。それが出会いの場では過去把持となり、未来予持の話がヒロインからでてくる。これらはフッサールの言う時間認識の仕組みであるが、天使には無いものなのだろう。

ヴェンダース監督の小津安二郎監督へのリスペクトがある事も小津ファンからしたら嬉しい。さらにタルコフスキー監督へも。

良い映画を観た後の、なんとも言えない視聴感が心地よい。

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