主の独り言

2021.02.19

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 塩野七生

15世紀末期のイタリア。大小様々な国が乱立し混迷していた。
主人公チェーザレ・ボルジアの父が枢機卿からローマ法皇となり、ボルジア家の勢力が拡大していく。
周辺国には、神聖ローマ帝国、フランス、スペイン、フィレンチェ、ベネツィア、ナポリ、オスマン帝国などの強国ばかり。

父がローマ法皇と言う後ろ盾も使いながら、他国に対し、恐喝したり、懐柔したり、服従したり、無視したり。権謀術数を駆使して勢力を拡大していく。

この姿は、マキャベリの君主論でも描かれており、模範にすべき君主としてこのチェーザレが登場してくる。

ダヴィンチを抱えて街づくりに勤しむなど、先見の明がある人物であることもわかる。

しかし、法皇とともにマラリアに罹ってから勢いを失ってしまう。
卓越した人物ではあったが、運は味方しなかった。

著者の塩野七生は、寡黙で心意を語らないチェーザレの心を現すメタファーとして彼の剣をポイントで出してくる。

時間を超えて、チェーザレと言う卓越した人物を僕みたいな凡人が想う事を手伝ってくれる素晴らしい表現だと感じる。

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