主の独り言
2019.09.24
トム・アット・ザ・ファーム グザヴィエ・ドラン
ドランの2013年主演&監督作品。
シリアスな演出が
登場人物達の心の深淵をあぶり出す。
深淵と言えば、
“深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ”
ニーチェの有名な言葉がある。
まさに、こちらの心の深淵ものぞかれる
そんな感覚を受けた。
主演であるドラン(男)は、
フィアンセ(男)の死をきっかけに、
フィアンセの実家に訪れる。
そこには家を守る兄と母がいた。
この母親はCPがとても強い女性、
その元で育った長男の屈折した心は興味深い。
(この長男は、後の“たかが世界の終わり”の長男に通ずると感じる)
主演であるドランが、手紙で書いた
代替えが必要である
という点がこの映画はミソである。
ドランは、フィアンセの兄を代替えに
選ぶ心の動きが興味深い。
声や、臭いが兄弟で似ているという点だけで他人を愛し始めてしまう。
これは、先日見た“寝ても覚めても”のテーマでもある。
要するに、フィアンセの兄にフィアンセを投影したのだろう。
愛とは何か・・・
これが映画から痛烈に問われていると感じる。
フィアンセが、マクフィガン的に使われているところは
僕は好きだな。