主の独り言

2022.11.10

族長の秋|ガルシア・マルケス中短編傑作選|純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語り ガルシア・マルケス

ガルシア・マルケスを3冊読む。
よくもまぁこんな文章が書けるものだと感心する一方、気を抜けば簡単にふるい落とされる。読者を選ぶ作家。
ただし、少しでもしがみついていれば、彼の妙味を味わうこともできる。

族長の秋の架空の国の大統領。彼の孤独は百年の孤独に登場する一族の孤独より遥かに深い。
彼の性格も問題があり仕方がない面は多々あるが、それにしても孤独である。ゆえに強い猜疑心に苛まれ、彼は苦しみながら一生を過ごす。
彼の人生をさまざまな人物が語る。どれが事実かさえわからない。彼らにとっては真実であり、それが彼らが見た孤独な大統領の姿なのである。

純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語り。
祖母の邪悪さはタイトル通り。心理学で言うグレートマザーそのものである。エレンディラは搾取され続けるのだが、共依存の関係で均衡は保たれている。そこに、エレンディラに真剣に恋をする青年が登場しこの均衡が徐々に崩れてくる。
祖母から解き放たれハッピーエンドかと思いきやのラストは良かった。

 

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