主の独り言

2015.08.10

意識はいつ生まれるのか マルチェロ・マッスィミーニ ジュリオ・トノーニ

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意識はいつ生まれるのか
マルチェロ・マッスィミーニと
著名なジュリオ・トノーニの共著で有り、
意識に関しての今年の話題作でもある。
構成が、非常に構造的であり
飽きさせず読ませる工夫が非常に感じられる
本である事を先に言っておきたい。
意識という題材は、一般読者を置いて行く本が多い中
一般読者を考えた構成が素晴らしかった。
特に、素晴らしいと思うのは
命題(イシュー)の発見から
証明までのストーリーである。
読ませて頂いて感じたのは
マッキンゼーのフレームワークで有名な
空雨傘が秀逸に織り込まれており、
読者が頭に入りやすい論理的な構成な所である。
本の目的である“意識”の内容という以前に、
読み手に対しての配慮が本当に素晴らしい・・・
というのが、僕の一番の読書感想であった。
さて、ここから内容に関して少し感想を述べたいと思う。
僕は、意識についての本は読んでいる冊数は
多い方だと思っている。(理解度は別として)
過去もブログで
著名なダイニエルデネットの“解明される意識”
については書かせて頂いている。
方向性としては、
デカルト的二元論ではないという所は当たり前の流れだし、
デカルトの言う松果体のような原因的部位に
固執するような話でもない。
ここまでは、他の脳神経学者等も言っている話である。
しかし、“意識”の発生原因及び箇所の特定に関しての
証明は秀逸で有り、読書予定時間を迎えるというのに
予定を変更して読書を続けさせるサスペンス的要素に
引き込まれてしまった。
全てノンフィクションで行われている実験の数々。
(本文にも記載のミツバチの会議、これも凄まじい実験調査の代表である)
その失敗から次のイシューの発見。
この繰り返し。
膨大な時間という犠牲を払ってこの本がある事がよくわかる。
さらに、多くの被験者の協力によっても
成り立っていることもよくわかる。
当然、帰納的推論の域は出ないが
僕としては、限りなく意識について
今我々人類が知る事が出来る最先端の
知識であると考えている。
■追伸
文中に、ゲーテのファウストを思わせる記述が
2箇所ほどある。
悪魔のメフィストフェレス
人造人間のホムンクルス
このメタファーの使う場所、使い方も非常にさりげなく上手い。
翻訳も上手いのもあるだろうが
こう言った文章を死ぬまでに一度は書いてみたいものである。

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