主の独り言
2020.09.25
泥の河 小栗康平

“もはや戦後ではない”
こんな言葉が踊っていた昭和31年。高度経済成長真っ只中の大阪が舞台。
ある河のほとりに住む二つの家族を通して、戦争と経済成長の闇を映し出す。
万引き家族やパラサイトでも描かれているアンダークラス。小栗監督の描き方は特にリアル。子役3人の素晴らしい演技もあって映画に引き込まれていく。
映画では、階段や舟などを使い所得階級を表し社会の分断を表現している。秀逸である。
さらに、河の底の主である巨大鯉が、アンダークラスの巨大な重力のメタファーとして凄まじい効果を出している。
いつまでも舟で住む家族達を追いかけ続けていくのだろう。
加賀まりこ扮する娼婦の母親が主人公の少年を引き込まない為に立ち去るシーンが記憶に残る。