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〜蓼科 親湯温泉 貸切露天風呂のおはなし 02〜

久しぶりに母と旅行に出かけた。行き先は母が若いころに訪れたことがあるという蓼科へ、小学二年生になった息子と夫とともに、4人では初めての温泉旅行だ。

蓼科 親湯温泉のエントランスをくぐると、上海租界をイメージしたロビーに通された。母は約100年もの歴史を誇る老舗旅館というから和風だと思っていたようだが、しゃれた雰囲気が随分と気に入ったようだった。ソファに座りウェルカムドリンクをいただきながらチェックインする。館内の説明を聞き、食事の時間を決めたり、貸切露天風呂の予約を入れたり、滞在中の予定を立てた。

客室は、蓼科倶楽部の柳原白蓮をイメージしたお部屋だった。広々としたユニバーサルデザインの洋室は、ベッドルームとリビングが襖で仕切られ、シノワズリの壁紙がとても素敵だ。息子は夫を従えて興奮ぎみに壁紙の中に描かれた鳥を探したり、ストーブに火を付けたりと忙しそうにしている。母は壁にかけられた柳原白蓮の書を眺め、部屋に置かれた本に目を通していた。

しばらくお部屋で過ごしてから大浴場へ。まだ日が高いうちから楽しむ温泉は気持ちいい。母は最初畳敷きの大浴場にとても驚いていたが、滑る心配がなく、畳の感触が心地よく、「これはいいわね」と感心していた。一緒に露天風呂に出て、渓流の音を聞きながら、あれこれと話しながら過ごした後、貸切露天風呂へ。今回は夫には遠慮してもらって、母と息子と私で入ることにした。

貸切露天風呂は、大浴場近くにある扉から外に出て、緩やかなスロープを少しだけ上がったところにある。息子は予約したお風呂の「一の湯」を見つけるとあっという間に浴衣を脱いで、かけ湯をして湯船に入っていた。湯舟は床下タイプで、手すりもついているので母も入りやすい。湯舟に入ると、目の前に広がるのは渓谷の絶景。温泉に入って手足を伸ばしてリラックスしたせいか、家族だけのプライベートな空間だからか、息子は好きな恐竜について語り、母はかつて蓼科に来たときのことを話してくれた。「もうお兄ちゃんになるから、最後かもしれないね」と母。たしかに息子も小学生になり、もう女湯には入ることはできない。「また来年も来たらいいね。ここなら一緒に入れるよ」と息子。思わぬ提案に、母はうれしそうに「そうだね。また来ようね」と繰り返していた。

温泉からお部屋までは、少し離れているがこれがまた心地よい散歩コースだ。ショップ「蓼科trésor – トレゾール – 」でおみやげを探したり、「みすずLounge & Bar」「岩波文庫の回廊」で昔父が集めていた本を見つけたり、ゆかりのある文人たちを紹介している博物館のようなコーナーでは古い宿帳を見て、柳原白蓮のきれいでかわいらしい字に驚いたりと、楽しい時間を過ごすことができた。温泉はもちろんのこと、食事も、お部屋もさまざまな魅力に満ちた蓼科 親湯温泉。孫に手をひかれ、嬉しそうに歩く母の姿を見て、一緒に来てよかったと、そして「また来よう」と心から思った一日だった。

→次回は、安全な温泉宿としての取り組みについてご紹介します。

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