主の独り言

2022.05.16

精神0 想田和弘

ナレーション無し。字幕無し。BGM無し。
高齢の医師の発音は聞き取りづらいが一切の配慮は無し。
監督は自作を観察映画と称し主観を排除したドキュメンタリーを主義としている。

前半は、高齢を理由に精神科医を引退する医師と患者との姿。

患者に寄り添い、医師の言葉を借りれば
共生の姿が映し出されている。

患者に多量の薬を処方したり、暴れたら即拘束具で押さえつける姿は全くない。
とにかく患者の話を聞く。
そこには、合理性はない。非合理の世界。レンマの世界の跡が画面から伝わってくる。

患者達は医師との今生の別れに無念さを滲ませ、今後訪れる寂寥感に不安を強くする。

後半は、引退後の夫婦の日常の姿。
痴呆のケがある妻を労わりながら、共生する医師、改め老人の姿が映し出される。

二人で先祖の墓参りをするシーンは、ただの墓参りではない。惜別と○○の終焉を意味するものとして強烈に感じた。

凄い映画にまた出逢ってしまった。

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