主の独り言

2020.03.23

レンマ学 中沢新一

この本はシビれた。僕が永年感じていた問いの答えが書かれていた。

この本を説明するには、物理学者の言葉を引用するのが一番良いと感じる。

アインシュタイン
「現代科学に欠けているものを埋め合わせてくれるものがあるとすれば、それは仏教である」
と言い、
量子論の産みの親であるニールス・ボーアは、
「原子物理学論との類似性を認識するためには、 われわれはブッダ老子といた思索家がかつて直面した 認識上の問題にたち帰り、 大いなる存在のドラマのなかで、観客でもあり演技者でも ある我々の位置を調和あるものとするように努めねば ならない」
と言った。

論理(ロゴス)では語り尽くせない分野がレンマの世界であり、ロゴスよりも広大で深い範囲を網羅する。そしてこの世界は仏教なのである。

ここでいう仏教は、鎌倉時代以降の庶民向けの仏教ではなく、当時高尚な学問であった仏教がベースとなっている。

ポイントは相即や縁起と言った仏教用語の意味だろう。ここの理解があればこの本は一気に面白くなる。
あわせて量子論について知っていると、仏教との共通性に驚くことばかりとなる。

ちなみにこのレンマの世界はフロイトのいう無意識の世界ではなく、どちらかというとユングの言うところの無意識が包含されている世界である。

この本を理解するには華厳経を学ばないといけない。
世界は相即であり縁起なのである。

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