主の独り言
2021.05.14
棒になった男 安倍公房

気づいたら、自分が棒になっている。なんだかカフカの変身の様である。
そして読み進めていくと、人ごとでは済まないことに気づく。自分も注意しなければ棒になってしまうと。
安倍公房が、棒に込めたメタファーは、読者それぞれが感じ取れば良いと思うが、大なり小なり現代人はこの要素を持っている。戯曲に中にも、数十年前より増えている、という記述もある。よって現代は相当数であると考えても良いだろう。
また、本作には旅行鞄がマクフィガンとして進む戯曲や、ボクサーの脳内(独り言)だけで進む戯曲も含まれ、これらで一つの作品となっている。
これらを読み進めていくと感じるのは“不条理”というテーマ。
避けては通れない、生きる上で重要なテーマだと感じている。