主の独り言
2021.04.24
鏡 アンドレイ・タルコフスキー

監督アンドレイ・タルコフスキーの記憶の断片が散りばめられた自分史映画。
あまりの難解さに、連続視聴した。
2度目の視聴の際に、人の記憶の断片だから物語として理解する事を放棄しようと気づき、そこから俄然興味深くなる。
美しい母、帰らぬ父、戦争の辛い体験、初恋、母に似た奥さん、離婚、実子・・
タルコフスキーの記憶には、幼少期の父と母が強く刻まれている。そして、その当時の社会情勢も同じく強く刻まれている。さらに、合わせ鏡のように、自分も母に似た妻を選び、実子に自分の幼少期と同じような状況下においてしまっている。
無抵抗な幼少期に、超自我を形成する体験というのは凄いものである。
タルコフスキーは自分の記憶観察し、フッサールの現象学でいう過去把持を視聴者に見せてくれた。これにより、タルコフスキーの他の映画の見方が確実に変わるだろう。