主の独り言
2020.08.27
鬼火 ルイ・マル

ヌーヴェルバーグ代表的監督の一人、ルイ・マルの映画。
アルコール依存症を完治(医師いわく)した男の自殺までの2日間を追う。
元将校(かなり有名)、特権階級、アルコール依存症、女性にモテる(多額なお金の援助を受ける)、友人多い、特権階級専用の病院に入院・・彼のプロフィールは映画から読み解くしかないのだが、環境は恵まれていたことは間違いない。
しかし、彼の関係性は空虚なものでしかなかった。特に描写はされないが、母との関係は一言のセリフから推測できる。
映像中主人公は女性を目で追うシーンが多いのは母を投影してのことだろう。
彼は遺書にこう書く。
「ぼくは自殺する。君達もぼくを愛さず、ぼくも君達を愛さなかったからだ。だらしのない関係を緊め直すため、君達のぬぐいがたい汚点を残してやる」。
モラトリアムな主人公。彼に残された復讐は自殺しかなかったのかもしれない。