主の独り言
2016.12.03
ホムンクルス
古本屋で、“ホムンクルス”という漫画に目がとまる。
ホムンクルスと言えば、
ゲーテの“ファウスト”を読んだ事があれば
ピーンとくる名詞であろう。
一巻で、主人公が古く慣れ親しんだ狭い車の中で、
横になり膝を丸め、指しゃぶりをしているシーンがあった。
そして、このシーンは象徴的に
何度も何度も全15巻の中で象徴的な
シーンとして登場してくる。
車という母体(マトリックス)の中に
退行している様子を描いていると感じた。
父親の描写は少しあったが、母親の描写は全くなかった。
ここに、著者の恣意的な意図を感じずにはいられなかった。
主人公は、母に会いたかった。
これが、一番の彼の求めていたことなのだろう。
精神分析的な用語で言えば、
この漫画は“乖離”が根底にある。
乖離は、生活に影響を与えていれば治療者は手をさしのべるべきだが
生活に影響を与えていなければ手をさしのべるべきでは無いと
言われている。(僕はそー解釈している)
主人公は、生活に支障を与えていない
知人に介入し、結果自殺に追い込んでしまう。
主人公は、自分の乖離されている部分を見つけるため
ひたすら奔走する。
しかし、見つけられる近くまで行くが
結果見つける事は出来ない。
なんだか神話的でこの終わり方好きだなー。