主の独り言

2015.08.12

ヤマタイカ 星野之宣

弊社がある長野県茅野市は、縄文時代の遺跡が数多くある。
そして、土偶も数多く出土し、内2つが国宝となっている。
そんなことで茅野市は、
縄文プロジェクト”を立ち上げ
茅野市と縄文文化とを繋げようとする
取り組みを始めている。
正直、現代と縄文との乖離がありすぎて
市民への浸透(理解)は正直??
というのが正直なところだろう。
しかし、この様な課題(構造)は現代だけの問題だけで無く
過去にも数多くあったことは少し思惟すれば自明である。
その解決策なのが、昔話で有り、神話で有り、
“物語”というツールなのである。
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今、なぜ、『縄文』かー、『縄文』とは何かーを問うとき、
その問いの根底に、私たちはいったい何者なのか
という思いが横たわっているように感じます。
〜茅野市縄文プロジェクト〜P1より
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僕の中で、これを読んだときに出てきたのが
“ヤマタイカ”
という名作のSF漫画(物語)である。
ヤマタイカ 神子
この“ヤマタイカ”、
先ほど書いた、縄文プロジェクト抜粋文書がコンセプトとしてあり
日本人のルーツを解き明かす物語である。
縄文が出てくる漫画には、
ほぼ茅野や諏訪は出てくる。
ヤマタイカにも当然出るし、
諸星大二郎の名作“暗黒神話”には
1Pにいきなり出てくる。
それほど、茅野や諏訪と縄文とは
歴史上切っては切れない関係なのである。
さて、漫画ヤマタイカに戻ろう。
この物語は
古事記、日本書記が根底に流れている。
そして、興味深いのが
古事記や日本書紀を書かれなければならなかった
“大人の理由”
を謎解きとして物語の本流に据えている。
もっとわかりやすく言うと
縄文人(火の民族)1万年の歴史が
渡来人弥生人(日の民族)によって崩壊させられる。
それを、現代になって
火の民族の末裔たちが取り戻そうとする・・・
そんな物語の構造だ。
古事記等では征伐される側の
クマソ、エゾ側が火の民族で有り
主人公側である。
登場人物の名字、菊池とか隼人等は
それを暗に示している。
神武天皇(日の民族)の東征も、
火の民族を制圧するための
ものであり、日本武尊も同じ構造である。
それを正当化した大人の事情が
古事記で有り日本書紀であるとしている。
現代になり、
日の民族に抑圧され続けてきた
火の民族の末裔たちが
邪馬台国の卑弥呼と意識をリンクさせた
主人公と共に、全国的に一斉に
火山や地震を伴って、
抑圧されたアイデンティティーを放出する。
リビドーの解放と言ってもよいであろう
凄まじい生のエネルギーとして描かれている。
そして物語は
主人公である卑弥呼の生まれ変わりと
渡来を象徴とする仏教の代表者との戦いで幕を閉じる。
作者である星野之宣は
このヤマタイカであるメッセージを強烈に示している。
この漫画は1980年代後半のものだが、
予言的な漫画であるとも思っている。
しかも、今にぴったりだ
と思うのは僕だけでは無いと思う。

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