主の独り言
2022.08.23
絶望死のアメリカ アン・ケース アンガス・ディートン
数十年単位で見ればグローバル化によって世界の格差は明らかに縮まっている。中国、インド、一部のアフリカの国が一気に豊かになってきたからだ。グローバルジニ係数の推移を見れば明らかである。
しかし、先進国の状況はそれと違ってきている。
暴力と不平等の人類史によれば、平和が長く続けば続くほど格差は拡大し続けるという。
(戦争が起こらなければ平等には近づかない)
確かに、中間層の上と下では、時間経過とともに資産の差は広がり続け中間層はいなくなってしまう。
本著は、アメリカの中間層崩壊に伴う深刻な格差の話である。そしてメリトクラシーの功罪を我々読者に示してくれている。
(労働者階級の死亡率上昇は驚き。著者は絶望死と定義)
行き過ぎた知識主義に対して反知性主義が声を上げるアメリカ。
トランプ大統領誕生も社会システムから考えればうなづけてしまう。
そして日本。
日本のジニ係数もここ10年で上昇し続けている。
日本もアメリカの後を追う様な気がしてならない。
