ディオニソスの陶酔

2023.07.03

長野県のクラフト・ジン

『ジン』は元々オランダが発祥とされている薬用酒です。
大麦、ライ麦、ジャガイモなどの穀物を原料とした蒸留酒にボタニカル(植物成分)で香り付けされた商品で主にジュニパーベリー(セイヨウネズの果実、杜松果)によって独特の風味が付けられています。

ジュニパーベリーの薬効については古くから知られており、ペストの治療にあたっていた修道士たちはこのジュニパーベリーを詰めたマスクを着用していたと言われ、11世紀頃にはイタリアでジュニパーベリーを主体としたスピリッツを造っていた記録があり、イタリア発祥説も有力となっています。先に述べた通り、『ジン』はオランダで『ジェネヴァ』と呼ばれる利尿・解熱作用のある薬として誕生したと言われていますが、17世紀頃オランダの貴族がイングランド国王に即位したことで『ジェネヴァ』がイギリスに持ち込まれ、その美味しさから本来の薬用ではなく、嗜好品として発展してきました。そして、『ジェネヴァ』を短くして『ジン』と呼ばれるようになったそうです。『ジン』というと皆様は『ロンドン・ドライ・ジン』を思い浮かべられると思いますが、イギリス人に大好評で発達したため代表格になったとのことです。

近年では日本各地でも製造が始まり、『クラフト・ビール』ならぬ『クラフト・ジン』と呼ばれ各蒸留所独自の製法で個性を出した商品が誕生しています。

当地、長野県内でも駒ケ根・野沢温泉・佐久穂町などで製造が始まっており、当館でも『みすずLoung & Bar』でも取り扱いを始めました。駒ケ根からは皆さまご存知の『養命酒酒造』様から日本固有のボタニカルであるクロモジを使用した静寂な森をイメージした『香の森』、『野沢温泉蒸留所』様からはクロモジ、杉、カキドオシを使用した爽やかな味わいが特徴の『NOZAWA GIN』、千曲川の最上流である佐久穂町の『黒澤酒造』様からは長野らしく信州そばを使用した『& SOBAGIN』が登場しています。カクテルでも追加料金を頂戴しますが、従来の『ロンドン・ドライ・ジン』ではなく、これらの『クラフト・ジン』を使用してお作りすることができます。
ご来館の際には信州の森の雰囲気を是非お試しください。

蓼科 親湯温泉 ソムリエ 梅原

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