ディオニソスの陶酔

2023.05.22

泡盛って焼酎???

残念ながら当館ではお取り扱いしておりませんが、沖縄の蒸留酒『泡盛』は皆様ご存知ですよね。
『泡盛』って一体何者なのでしょうか?

お酒の蒸留技術が中国からシャム(現在のタイ)を経由し琉球(沖縄)に伝来、製造が始まりますが、それは厳しく管理されていて誰でも造れるものではなく、限られた蒸留所のみで生産され、東南アジア諸国への献上品としての役割を果たしていました。沖縄県の伝統的な焼酎として、主にインディカ米(タイ米)と他の麹菌よりも雑菌に強く、クエン酸を多く作り出す黒麹菌で造った甘い香味成分が多く、濃厚な味わいを持った製品なのです。
酒税法で『焼酎』は連続式蒸留機で蒸留し度数36度未満のものか、単式蒸留機で蒸留し度数45度以下と規定されており、単式蒸留で造る『泡盛』は『焼酎』の一種ということになります。『焼酎』と『泡盛』の違いとしては、原料米がタイ米を使用している点と製造工程において『焼酎』で行っている2次仕込みを行ってしまうと、沖縄の暑い気候ではもろみに含まれるクエン酸が薄まり雑菌の繁殖に貢献してしまうため、1次仕込みしか行わないこと、『焼酎』では白麹・黒麹・黄麹などを使用しますが、『泡盛』では沖縄産の黒カビで造った黒麹菌(泡盛麹菌)を使用することになります。沖縄返還直後では『泡盛』という酒類表示はできず、『焼酎』という表示でしたが、1983年にようやく『泡盛』という表示ができるようになりました。沖縄県内では『島酒』と呼ばれ、酒といえば日本酒より『泡盛』を指しますので、沖縄で「酒を飲もう」と言われたら『泡盛』のことと考え、度数が違いますのでご注意ください。

また、『泡盛』は長期熟成させれば香りも甘くなり、舌触りも滑らかになります。3年以上貯蔵したもの、または『仕次ぎ(貯蔵過程で蒸散によって減った分や消費のため使った分を次に古い泡盛で補充していく方法)』したもので『仕次ぎ』した量が『仕次ぎ』後の総量の50%以下であれば、『古酒(クース)』と表示できるとなっています。

1470年頃には泡盛の原型ができて製造が始まったとされ、ヨーロッパでウィスキーが1570年頃、ブランデーが1660年頃に発祥したと言われていることからも、蒸留酒の先駆者と言っても過言ではないでしょうか。

今宵もお酒にまつわるロマンを感じながら、愉しいひとときをお過ごしください。

蓼科 親湯温泉 ソムリエ 梅原

Category

Archive