ディオニソスの陶酔

2023.04.10

コルク栓とスクリューキャップ

皆様はワインと言うと『コルク』の栓でないと、、、とお考えではありませんか?
『コルク』はスペインやポルトガルなどに生息している『コルク樫』というブナ科常緑高木の樹皮から造られる天然素材です。
そして諸説ありますが、これに対し優良なコルクが不足していた南半球で品質とコストの面で代替えとなるキャップの開発に乗り出し、『スクリューキャップ』が誕生したと言われています。

『コルク』と一言で言っても『天然コルク・圧搾コルク・合成コルク』など様々な製品があります。
『天然コルク』を使ったワインでは『ブショネ』と言われるコルク臭が製品全体の約5%ほど発生し、ワインの香りや味わいに悪影響を与える場合があり、これを防ぐためプラスティック製の『合成コルク』が誕生、その後『天然コルク』と『合成コルク』のデメリットを克服する『天然コルク』の破材を特殊加工で固めた安価な『圧搾コルク』が誕生しました。
5%ほどと言うと少ないように思われますが、100本(約8ダース)の内5本、つまり1ケース中約1本ほどが『ブショネ』になっているということになります。
レストランでワインを注文された時、抜栓後ホストテイスティングを行いますが、これは『ブショネ』など保管状態に問題がないかお客様に確認していただくという意味です。

『スクリューキャップ』は安物のイメージが先行し、一時期は反対運動も起こり普及が伸び悩んだ時期もありましたが、2000年代に入り『天然コルク』が不足してくると、『ブショネ』が発生しないという長所をアピールし、『スクリューキャップ』が採用され始め、現在のオーストラリアやニュージーランドのワインにおける『スクリューキャップ』の普及率はほぼ100%に近い状態です。
『スクリューキャップ』は『ブショネ』による影響以外でも、温度の影響を受けない点や耐久性に優れ開栓・閉栓がしやすく、ボトルの保管も立てたまま出来るという利点があります。
しいてデメリットとして言えば、天然素材ではないので自然には還れず、開栓の時もパフォーマンス的な華がないことくらいでしょう。

また、酸素透過率でも『天然コルク・圧搾コルク』が勝るものの酸化のリスクも大きいということが言え、逆に『スクリューキャップ』では個々の製品により差はありますが、一般的に酸素透過率が低く、それぞれワインの香りや熟成に大きな影響を与えます。

決して見た目で判断せずに、ご自分のスタイルにあったキャップで味わい深い多種多様なワインライフをお楽しみください。

蓼科 親湯温泉 ソムリエ 梅原

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