ディオニソスの陶酔

2023.03.02

燗酒と冷酒

日本の国酒である『日本酒』は世界の酒類には見られない幅広い温度帯で飲用されています。

従来は5℃~55℃程度と言われていましたが最近では、オンザ・ロックや冷凍庫でわざと凍らせる『みぞれ酒』という商品も出てきました。
温度が低いと香りは爽やかになり、飲み口も引き締まりキレよくドライな味わいになります。
逆に温めると香りはふくよかに広がり、まろやかな飲み口で甘味・旨味成分が広がる味わいになります。

『ひや』というと『冷酒』と思いがちですが、実は常温とされる20℃前後の温度帯を指しています。
つまり温度が低い順に『冷酒』『ひや』『燗酒』となる訳です。
さらに温度によって細かく分類され、『ひや』も5℃を『雪冷え(ゆきひえ)』、10℃は『花冷え(はなひえ)』、15℃を『涼冷え(すずひえ)』とし、『燗』も30℃前後を『日向燗(ひなたかん)』、35℃前後は『人肌燗(ひとはだかん)』、40℃前後は『ぬる燗』、45℃前後は『上燗(じょうかん)』、50℃前後を『あつ燗』、55℃以上を『飛びきり燗』とそれぞれ呼びます。
人間の体温に近い『人肌燗』は飲んだ時にも体にあまりストレスを与えず、体にとってとても優しい温度帯です。

『燗』をつける場合のお勧めは湯を張った鍋に酒を入れた『徳利』や『ちろり』と呼ばれる酒器を入れて『湯せん』する方法ですが、一般家庭では電子レンジを使われるケースが多いと思います。
レンジの場合は首の部分がくびれているので温度が均一に上がりません。
マグカップのような太さが均一の容器を使用することをお勧めします。
また『日本酒』は温まると膨張し、口元までピッタリ入れると溢れてしまいますのでご注意下さい。

まだまだ、寒い日が続きますので、たまには『燗酒』をお愉しみいただいてみるのもいかがでしょうか?

蓼科 親湯温泉 ソムリエ 梅原

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