ディオニソスの陶酔

2022.11.08

11月はボージョレー・ヌーヴォー

当館は長野県産ワインに特化しておりますので、残念ながらご来館の際にお愉しみいただけませんが、毎年、この時期になるとテレビなどで耳にする『ボージョレー・ヌーヴォー』。
何が特別なのかご存知でしょうか?

毎年11月の第三木曜日、午前0時に解禁されるフランス南部・ブルゴーニュ地方ボジョレ地区産の新酒の赤ワインを指します。日付変更線の関係から本国フランスはもとより、世界中で最も早く解禁になるのが日本という訳で毎年話題になっています。

特徴なのは『早飲み用』ということで造り方も通常のワインの醸造法とは異なります。通常のワインは収穫したブドウの果実を潰してから発酵させますが、ヌーヴォーの場合は、収穫したブドウの房をタンクに直接入れておくと、ブドウの重さで下の果実から潰れてジュースになり発酵が始まります。一般的に通常のボージョレー地区の赤ワインはタンニンが多く色が濃いワインになりますが、『ヌーヴォー』は渋みが少なく、フレッシュでフルーティなワインに仕上がります。

本来は収穫を祝って造ったワインでしたが、その年のブドウの出来栄えを確認する試飲用でもあるため、できるだけ早くワインとして完成させなくてはならず、『マセラシオン・カルボニック』または『炭酸ガス浸漬法』と呼ばれる急速発酵技術を用いて造られています。一般的に赤ワインは長期熟成を経てさらに美味しくなると言われていますが、『ボージョレー・ヌーヴォー』に関してはこの概念はありません。手に入れたら早めに飲まれることをお勧めいたします。

また、『ボージョレー・ヌーヴォー』の他『ボージョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー』という商品もあります。こちらは、ボジョレ地区内のさらに細かい『村』としての地理的表示になりますので、より狭められた厳しい基準をクリアした商品ということになります。

なお、表記には雑誌やワイン売り場などでよく見る『ボジョレ』、新聞やソムリエ協会などで使われる『ボージョレ(ボージョレー)』、テレビやコンビニなどで使われる『ボジョレー』など色々ありますが、最初の表記が一番フランス語の発音に近いと言われています。

今年の新酒はどんな出来栄えでしょうか?

蓼科親湯温泉 ソムリエ 梅原

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