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〜蓼科 親湯温泉 文学のおはなし01〜

純文学、現代文学、古典、近代古典、アート、写真集……そしてかわいらしい絵本まで、さまざまなジャンルの本が並ぶ「みすずLounge & Bar」。オールド上海をイメージしたセピア色の空間で、お酒を片手に読書を楽しみ、物語の世界の中に入り込む至福のとき。本の香りとクラシックなシャンソンやジャズの音色も心地よく、いつしか時が経つのも忘れてしまいます。

どうしてこれだけたくさんの本があるのか。疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。それは、大正・昭和時代、蓼科 親湯温泉は文化の発信地として、伊藤左千夫や斎藤茂吉、太宰治など名だたる文人が集まり、蓼科の大自然にインスピレーションを受けて多くの名作を生み出してきたからです。また、現在の社長が読書家ということも大きな理由の一つでもあります。年間200冊以上の本を読んでいるという現社長が30年かけて集めた本、平成30年(2018年)のリニューアルに合わせて厳選し購入した本、そしてお客様からいただいた本は、すべて合わせると3万冊にも及び、訪れる読書家たちの心をときめかせてくれます。

「みすずLounge & Bar」は、明治から昭和にかけて独自の文化が花開いたオールド上海=上海租界をイメージしています。上海租界(シャンハイそかい)とは、1842年の南京条約により開港した上海に設定された租界(外国人居留地)のこと。自由を求めて各国から文人が集まり、また各国のスパイが暗躍する場所でもありました。かつて文人たちが集い文化を発信した蓼科 親湯温泉をオールド上海になぞらえ、異国情緒あふれるクラシックで華やかそして、どこか懐かしさを感じる世界を表現しています。

また、蓼科 親湯温泉と縁のある文化人を掛け軸や絵画、写真などで紹介。3万冊もの本が並ぶ書棚から好きな本を選び、お酒とともに楽しむことができる、これまでにないスペースです。

「みすずLounge & Bar」のみすずとは、東京都文京区にある出版社みすず書房にちなんで名づけられました。みすず書房の創始者である小尾俊人(おびとしと)氏は茅野市の出身です。日本の哲学に多大な功績を残し続けているみすず書房を称え、その名を冠したスペースが作られました。そもそもみすず書房の「みすず」とは、『万葉集』にある信濃の国の枕詞「みすゞ刈る」に由来します。まだ文字もなかった頃、信濃の荒野に生い茂る篠竹(すずたけ)の姿を見て、思わず感動の歌を歌った人の姿を現しています。『私と小鳥と鈴と』『こだまでしょうか』といった名作を残した詩人金子みすゞもこの「みすゞ刈る」の美しい響きを好んでペンネームにしたといわれます。

古くから多くの著名人を魅了し続けてきた蓼科 親湯温泉が文学をテーマとした宿としてリニューアルオープンしたのは平成30年(2018年)のことです。3万冊にも及ぶ本の中から好きな本を選んでラウンジで、バーで、そして客室でも自由に楽しむことができるというスタイルは、今では他にはない蓼科 親湯温泉の大きな魅力となっています。蓼科という素晴らしいロケーション、上質な温泉と、地場の素材を盛り込んだ料理、そして寛ぎの客室に、文学という魅力がプラスされた蓼科 親湯温泉には、文学が好きな人はもちろんのこと、ゆかりのある文人のファン、知的な雰囲気を好む人、インテリアに興味がある人など、さまざまな人達が訪れます。

→次回は、岩波文庫の回廊についてご紹介します。

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