主の独り言

2022.10.15

絶望のきわみで | 生誕の厄災 | 告白と呪詛 | E・M・シオラン

ここ数年、ベネターをきっかけに流行っている反出生主義。非常に論理的に組み上げられている反出生主義を論破することは正直難しいとさえ感じてしまう。
快楽と苦痛の非対称性を定義した功績と「人は生まれるには値しないが続けるには値する」という言葉は有名である。

しかし、シオランを3冊読んで、僕の反出生主義の浅学さが浮き彫りにされた。そんな軽んじて言えるレベルの思想では無いとも感じてしまった。

ニヒリズムの思想家であり、徹底的に生を懐疑するペシミストでもあるシオラン。ひたすら生誕を呪い、生は絶望である事を繰り返し問われ続ける。
読者である僕は、シオランから徹底的に生を否定されるわけなのだが、逆説的に何故か生きる希望をも感じてしまうから不思議である。

グノーシスショーペンハウアー、シオラン、そしてベネターへと続く反出生主義の系譜。

より深く学びたい分野がまた出来た。

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