主の独り言

2022.04.23

少年の君 デレク・ツァン

苛烈な中国の大学受験。点数こそが正義であり、カントが批判した知識偏向主義の構造がそこにはある。

いじめを加害者だけの問題とせず、国全体の構造問題として映している所がいい。

ラカンの言う大文字の他者に親も子も支配されている中国受験の構造に、苦しむ子供たち。
点数こそが正義である構造に、魔が生まれイジメが絶えず発生し続ける。

イジメ加害者の少女が死んだ時に親は登場しない。点数を取れない子供は必要がないと言うメッセージなのだろう。

条件付きストロークしか与えられない社会において、
少年は、主人公の少女にとって、安全基地そのもの。
だから、あの状況から夢を叶える事ができたのだろう。

ラストの、もし、の台詞がいい。あそこが彼女の転換点。少年の心と繋がる邂逅した瞬間だった。

この映画のポイントは無関心
無関心が蔓延る世界に胸が痛む。

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