ディオニソスの陶酔
ボトルキャップ
ワインにはコルク、日本酒やウィスキーにはキャップ、ペットボトルにはスクリューキャップ、主に炭酸飲料には金属製の王冠など瓶の栓には様々な形があります。
液体飲料は昔、壺や動物の皮で造った袋などに入れて運んでいました。古代メソポタミアでガラス瓶が造られ、1500年頃にはドイツでコルク栓が開発されて利用されるようになりました。
しかし、コルク栓ではスパークリングワインやビールなど、発泡性の飲料ではガス圧によって抜けてしまいますし、こぼれてしまうので、針金などで押さえる手法が取られています。
1892年にアメリカで金属製の王冠が特許を取得し、さらに自動瓶詰め装置が開発されたことを機に、清涼飲料水やビールに採用され、一気に普及しました。日本では、1900年代に現在のアサヒビールやサッポロビールなどの前身である大日本麦酒に採用され、コルク栓からブリキ製の王冠へと変わっていきました。
発泡性の飲料だけではなく、ジュースなどの加熱殺菌された飲料も瓶内は減圧状態になりますので、圧力の影響を受けにくい王冠が採用されてきました。王冠は漏水試験、持続耐減圧試験、瞬間耐圧試験、持続耐圧試験が行われて中身の飲料を守ってくれているのです。
ところで王冠のサイドにはギザギザが付いていますが、銘柄やメーカーに関係なく、世界共通で21個のギザギザになっていることはご存知でしょうか?
3の倍数がしっかり固定できるということですが、21より多くても少なくてもダメで、しかも栓を抜き易いので世界共通になっているようです。明治時代に日本に王冠が採用された当初は瓶口と王冠が合わず、気が抜けたビールも多かったようです。当時の機械では、1分間にコルク栓を打ち込むのが2本程度だったのに対し、現在の機械では、王冠を1分間に1000本程度打栓できるようになったと言われています。日本の王冠は栓抜きで抜く商品がほとんどですが、海外ではツイストキャップという手で回して開ける商品が多く出回っています。
また、最近ではあまり見かけないと思いますが、昔は栓を開ける前に栓抜きで王冠の頭を叩いてから開ける方がいらっしゃいました。何か効果があると言われていましたが、全く効果はないそうです。
当館では、レストランでお客様のお手元に商品をお届けする際、既に王冠を抜いてしまっていますが、キャップにも隠された歴史や背景があることを思いながらお愉しみください。
蓼科 親湯温泉 ソムリエ 梅原