ディオニソスの陶酔
添加物は悪者ではない
一般に『日本酒』や『ワイン』などで「醸造用アルコール」や「酸化防止剤」といった食品添加物を加えた商品が多く見受けられます。
ところが、なかなか消費者側からすると「ええっ、、、、」と引いてしまう場合が見受けられます。
『日本酒』の「醸造用アルコール」は味わいや香りを調整するために加えられています。これを第二次世界大戦後物資不足による粗悪な『アルコール添加酒(アル添酒)』と混同されてしまい、『純米酒』一辺倒というお客様もいらっしゃいます。
さらに「醸造用アルコール」というネーミングも問題なのでしょうか、何か悪い物が入っていると勘違いをされる方も多いと思われますが、「アルコール」を加えることで度数を上げ、酒中にある『乳酸菌』による腐敗の防止に役立てられており、特に現代のように醸造法が安全に確立される前の江戸時代からは伝統的に行われていた製法なのです。
『米焼酎』や『粕取焼酎』などを新酒に加え、明治時代中頃まで普及していた『童蒙酒造記』という醸造法の技術書にも酒に焼酎を加えると〈味がしゃんとし、足強く候〉と記載され、以降『柱焼酎』と呼ばれていたほどでした。
また、ワインにも『亜硫酸』という「酸化防止剤」という商品が多く見受けられますが、これもまた酸化による酒質低下の防止を目的としており、「酸が入っているので悪酔いする」などと『酸』というネーミングで悪い印象を持たれる方が多いのも事実です。
『亜硫酸』とは簡単に言うと、「硫黄」が「水」に溶けた状態を指し、古代から殺菌や酸化防止のために多く用いられています。
多用してしまうと脱色作用があるのでワインの色が薄くなったり、『亜硫酸』の風味のためにワインの果実味が無くなるというデメリットもありますので、他の食品と比較してもかなり低濃度で使用されています。
では、人体に影響は及ぼさないのでしょうか?
もちろん『硫黄』ですので人体に入れば影響を及ぼしますが、先程書かせていただいている通り、かなりの低濃度ですので影響がある程では無いと言えるでしょう。
しかし、『アレルギー』や『喘息』の方々には低濃度であっても影響を及ぼす可能性がありますので、ワインの飲用を控えるよう指導される医師の方もいらっしゃるそうです。
特に『喘息』の方はご注意下さい。
ちなみに『厚生労働省』が定めた食品別の亜硫酸量では1㎏当たり干瓢が5.0g、干しブドウを除く乾燥果実で2.0g、干しブドウ1.5gに対しワインは0.35gとなっています。
ワインに含まれる『亜硫酸』が他の成分と混ざってほぼ無害な状態になりますので、人体に影響する量はさらに低くなります。
お酒を飲んで頭が痛いとか悪酔いをしたという場合は、その時の皆様の【飲み方】が最大の要因となっています。
どうぞこれらの添加物を悪者にしないで、美味しいお食事と美味しいお酒、そして楽しいひと時をお楽しみください。
蓼科 親湯温泉 ソムリエ 梅原