ディオニソスの陶酔

2023.11.13

日本酒の甘口、辛口

日本酒をご注文される時、多くの皆様は「辛口で、、、」とおっしゃいますが、もしかしたら実は日本酒に関しては「辛口」という表現は適切ではないかもしれません。

というのも、「辛い」というと英語では「Hot」といった刺激的な唐辛子やワサビなどの辛さを意味したり、「ドライ」という乾いた表現をする場合があります。元々日本酒に関しては「お米」を原料にしていますので、甘い製品ができあがる傾向にあり、刺激的な辛さは存在しません。ただ、そんな中でも、甘さが際立つ商品と甘さ控えめな商品が存在するということになるのです。
つまり、甘めに感じたり、そうでなかったりということになるのです。

よく、ラベルなどには「日本酒度」という記載がありますが、これは日本酒中の糖分の多さを表した基準になり、「日本酒度」がプラスだと糖分が少なく、マイナスだと糖分が多く甘めに感じます。一般的に-1.4~+1.4が普通と言われ、+6以上を大辛口、-6以下を大甘口と表現しています。ということで甘辛の目安として採用されています。

ところがここに、「酸度(酸っぱさ)」と「アミノ酸度(旨味成分)」、さらにアルコール度数の強さが関係してきて甘辛の基準が変わってきますので、「日本酒度」はあくまでも基準の一つとお考えください。
例えば、日本酒度がマイナス(甘め)でも酸度やアルコール度数が高めであれば辛めに感じますし、日本酒度がプラス(甘さ控えめ)でも酸度とアルコール度数が低く、さらにアミノ酸度が高ければ、甘めに感じる場合があるなど日本酒度の基準だけでは甘口・辛口が当てはまらなくなってきます。

さらに厄介なのが、「辛口」の尺度が皆様各個人により均一ではないということが重要です。
例えば、カレーなどの一つの辛口度合いでも、「ウワァー辛い」と感じる方がいらっしゃる場合と「いやあ、まだ大丈夫です」という方がいらっしゃるなど状況はその都度変わります。

ということで、日本酒に関しましては「甘口」か「辛口」という表現でご注文されるより、今のご気分で「端麗(スッキリ)」か「濃醇(濃いめ)」かという表現で担当スタッフにおっしゃっていただいた方が、ご期待に沿えるお酒をご提供させていただける可能性が高いと思います。
また、「おすすめはどのお酒でしょうか?」とおっしゃる方も多いですが、我々スタッフが考えておすすめでなければラインナップに載せておりませんので、よろしくお願いいたします。

蓼科 親湯温泉 ソムリエ 梅原

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