ディオニソスの陶酔

2023.08.31

酒造好適米

日本酒はお米で造られることは皆さま既にご存知かと思いますが、私たちが通常お食事で頂いているお米(うるち米)と違うことはご存知でしょうか?
農林水産省では玄米の種類を「水稲うるち玄米」「水稲もち玄米」「醸造用玄米」の3種類に分類しています。
お酒造りに用いられるお米は「酒造好適米」とか「酒米」と呼ばれ、「酒米」と呼ぶ時には「酒造好適米」のみに関わらず、お酒造り全般に使用されるお米のことを指します。
令和2年度の農産物検査結果を見ると生産されている「醸造用玄米」は約120種類にものぼります。
ワインは原料となるブドウ品種により味わいが変わってきますが、実は日本酒も原料米によって味わいが変わってきます。

生産量トップは何と言っても皆さまよくご存知の「山田錦」
兵庫県で生まれ、今や全国各地で栽培される品種です。一般的なうるち米よりも背が高いため、風などの影響を受け倒れやすく、病気にも弱いという生産者泣かせの品種ですが、醸造には適しており、タンパク質含有量も少ないので、香り高くバランスの良いお酒に仕上がるという「酒造好適米の王様」とも呼ばれています。

長野県で生まれた品種は「美山錦」で、さっぱりとキレのある味わいに仕上がると言われています。

お隣り、新潟県の代表としては「五百万石」
西の「山田錦」に対して東の横綱とも言われていますが、お米の内側にある「心白」と呼ばれる白く不透明な部分が大きいので、精米を50%以上削るのが難しいため、大吟醸などの高級酒にはあまり向いていません。
ところが、麹の造りやすさには定評があり、端麗辛口なお酒ができあがります。

また、岡山県で生まれた「雄町」は「山田錦」や「五百万石」の先祖と言われ、心白の発現率は高いですが、大きくて柔らかいため、こちらも「高精白」と呼ばれる精米にはあまり向いていません。
しかし、コクのある力強い味わいを生む傾向にあり、「オマチスト」と呼ばれる熱狂的なファンも多い、濃厚な香味が特徴のお酒に仕上がります。

当館で取り扱いの「山田錦」を使用したお酒は宮坂醸造さんの純米大吟醸「山花」、「美山錦」を使用したお酒は御湖鶴さんの「純米吟醸」と伊東酒造さんの吟醸酒「横笛古道」、「雄町」を使用しているのは舞姫さんの「翠露 純米大吟醸中汲生酒」などをご用意しております。

次回ご来館の際には是非、原料米による味わいの違いをご体感ください。

蓼科 新湯温泉 ソムリエ 梅原

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