主の独り言

2022.03.02

ノーカントリー ジョエル・コーエン

1度目なんとなく
2度目まぁまぁ
3度目やっと意図がわかる

回を重ねる毎に面白みが増す。
数度観たくなるという衝動に駆られる作品だった(同監督作品バートン・フィンクも同様だった)。

登場人物をパーソナルで観ずに、メタファーで観るとこの映画は凄く興味深いものに変わると思う。

サイコパスな暗殺者を、自然や台風、地震、戦争など予想だにできない世界と観ると彼の殺人行動にも納得がいく。彼は、善人や悪人も関係なく平等に殺人を起こす。手当たり次第目の前にいる人間や動物を殺しまくる。
興味深いのはコイントス。彼の前には運しか無い。よって論理でコイントスに参加しないという意思表示は全く意味をなさない。

彼のような冪乗則的な存在に対してはなす術はなく、生命は運に任せるしか無い。

主人公(保安官)の2つの夢で見たストーリーが、映画解釈の肝となる。
彼は祖父から続く保安官の家系であり、カント的な正義感の持ち主。しかし、この殺人鬼の存在を前に、保安官を辞める(逃げる)という選択をした事に劣等感を感じているのだが、祖父や父と比べその選択のお陰で幸せに長生きする事になるのだろう。

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