主の独り言

2017.05.29

誤配 ラン・ローラ・ラン&はなればなれに

東京の電車の中、
重役風情の男性が、
“人生は誤配だ”
と部下らしい40代の男性に話していた。
部下は、いぶかしげな表情で、
“誤配とは何でしょうか?”と聞き返す。
そのシチュエーションが、妙に懐かしく感じた。
“誤配”とは、
哲学者 ジャック・デリタが用いた概念。
20代後半だと記憶しているが、
先生に、僕は同じ質問をしつこくしていた。
そして、誤配と言えば、
直ぐ頭に浮かんだのは、
映画 ラン・ローラ・ラン。
映画公開時、
赤毛の女性がひたすら走る姿を映し出したCMは
僕の記憶に鮮明にまだ残っている。
そして、この映画のテーマは誤配。
当時、先生に教えて頂きDVD発売後、何度も視聴した。
主人公である、ローラの誤配のパラレルワールド(たぶん)
を舞台に繰り広げられる“もし”の物語。
ほんのちょっとの変化で、
結果が大きく変わってしまう。
階段でころぶ、老婆とぶつかりそうになる・・
こんな状況の変化で、結果が大きく変わってしまう。
さらに、相手もローラとの出会い方で結果が変わってしまう。
これは、
複雑系で有名な初期値鋭敏性である。
バタフライ効果と言えば分かりやすいかも知れない。
この映画は複雑系をパラレルワールドで示した
映画だと記憶している。
そしてもう一本。
誤配と聞いて思いだしたのは
ゴダールの
“はなればなれに”。
IMG_16882
DVDを取り出して久しぶりに見たが、
見れば観るほど味が出る映画だと思えた。
人間模様をチープに表現するあたりが、
とても現実らしく思えたし、
誤配という視点で見ると、一気に親近感が湧く。
改めて、電車でたまたま耳に入った
“人生とは誤配だ”。
僕も同意したいと思う。

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