主の独り言

2016.08.05

戦史 トゥキディデス

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言わずと知れた古典中の古典。
トゥキディデスの“戦史”。
紀元前431年から404年に起こったペロポネソス戦争を
如実に示した歴史書である。
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ペロポネソス戦争とは
【アテナイを中心とするデロス同盟とスパルタを中心とするペロポネソス同盟との間に発生した、古代ギリシア世界全域を巻き込んだ戦争である。】Wikipediaより
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大学時代、岩波文庫上中下3冊に撃沈した事を懐かしく思うと共に、
今回は、中公クラシックスで挑んだ。
ヘロドトスの“歴史”はペロポネソス戦争より以前のペルシャ戦争を描いた作品で有り、
著者ヘロドトスの創作部分も入り、物語として面白く読者は感じるだろう。
一方トゥキディデスの戦史は、著者が実証主義的観点から
アテナの一員だったにもかかわらず、首尾一貫として
実証主義的観点からの記載で、面白さは正直無い。
しかし、大学時代から約20年も経ち
こう言った作為的な意図を持たない本や映画の面白さを
少し知った僕には、今回の戦史はとても興味深い作品となった。
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P25より抜粋
私の記録からは伝説的な要素が除かれているために、これを読んで面白いと思う人は少ないかも知れない。しかしながら、やがて今後展開する歴史も、人間性の導くところ再びかつてのごとき、つまりそれと相似した過程を辿るであろうから、人々が出来事の真相を究めようとするとき、私の歴史に価値を認めてくれればそれで十分である。この記述は、今日の読者に媚びて賞を得るためでは無く、世々の遺産たるべくつづられた。
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こう言った態度に感銘を受けると共に
トゥキディデスの偉人たる所以を感じるのであった。

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