主の独り言

2015.05.03

レヴィ=ストロース 悲しき熱帯

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構造主義の嚆矢 レヴィストロースの代表作。
 
博覧強記で知られる松岡正剛はこう言う。
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『人類と人間に関する本質的な思索と自身の根源的な省察を同時に、
かつ暗喩に富んで表現できた学者など、まったくいなかった。』
『構造主義の全体と『悲しき熱帯』のどちらを取るかといわれれば、
ぼくは後者の一冊を選びたい。唯一無比とはいわないが、
そのくらいかけがえのない一冊なのである。』
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この書物は、20世紀を代表する100冊中の20位
にも選ばれている名著である。
とにかく、隠喩と換喩が凄まじく
読書素人を寄せ付けない旅行記であり、
そして、回想記である。
若かりし頃、哲学的な本は一通り
古本屋を巡って購入したが、
全く太刀打ちできなかった中の
一冊でもある。
表面上の書かれている事だけを読めば、
フランスからアメリカへの逃亡や
ブラジルへの研究旅行、インドへの研究旅行。
良く思索しながら読むと、
これは、人類の本質的な生きる構造を示した研究本となる。
そして、列強中心の世界思想に対する
強烈なアンチテーゼを示した
警告本でもある。
また、日本にも何度も来て
日本の職人へのリスペクトもされている。
それだけで無く、捕鯨等に対しての
指摘も暗喩でしている所が
レヴィストロースの是々非々の所である。
僕は、悲しき熱帯を読むと
この仏教のキーワードが頭に浮かんできた。
“色即是空”
レヴィストロースと実存主義の中興の祖であるサルトルとの
対決はご存じの方は多いと思うが、
僕は、レビストロースの主張はこの一冊に
凝縮されていると思っている。
そして、僕は悲しき熱帯は
仏教だと感じているのだった。

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