ディオニソスの陶酔

2025.08.24

お銚子と徳利

皆様は居酒屋さんなどに行った際「お銚子(ちょうし)もう一本」なんて注文された事はありませんか?実はお酒を入れて出される瓶型の酒器は「徳利(とっくり)」が正式名称で「お銚子」というのは間違いなんです。

以前日本酒は 樽で貯蔵・輸送され、そこから「提子(ひさげ)」と呼ばれる上部に取っ手が付いた器に移して飲んでいて、お酒が無くなるとまた注いでいました。「提子」は「くわえ」とも呼ばれ、桃山時代には蓋つきの容器が登場しました。これはお酒だけでなく液体全般を入れる事に使われていましたが、江戸時代にはお酒専用の容器を「銚子」と呼ぶようになり、盃に注いで飲むようになりました。当初は金属製の物が主流でしたが、現在では木製や陶器など様々な材料が使われています。平安時代には儀式に使われるようになり、現在ではお正月のお屠蘇(とそ)や結婚式の三々九度などに使われている器が「銚子」です。

一方「徳利」はお酒を神棚に備える際に使用した「瓶子」(へいし)が変化したもので、室町時代には「とくり」という呼び名が定着したと言われています。

では、なんでお代わりなどを頼む時に「お銚子一本」などと呼ぶようになったかと言いますと「銚子」はもともと熱燗にするために使われており、現在では「徳利」で熱燗を造る事になったため、形状は全く異なる物ですが、その用途から呼び方が混同されてしまったのではないかと言われています。

次回居酒屋に行かれる際には「熱燗お願いします」と注文される方がスマートかな?と思いますのでご参考にどうぞ。

蓼科 親湯温泉 国際きき酒師 梅原

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