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〜北八ヶ岳のおはなし04〜

なだらかで初心者でも比較的登りやすいといわれる北八ヶ岳。これまで、北八ヶ岳ロープウェイを使用した北横岳や縞枯山のコースを紹介してきましたが、今回は最終回。神秘の森に包まれたにゅうまで至るルートを紹介します。

かわいらしい名前のにゅうとは、標高2,352mの山。山頂は岩がゴロゴロと積み重なったガレ場で、天狗岳や硫黄岳、天気のよい日には富士山まで見ることができる人気の山です。変わった名前は、遠くから見た山の姿が「乳」に似ている、刈り取った稲を円錐形に積み上げる「ニオ」を語源にしているなどといわれています。表記も「にゅう」「にう」「ニュウ」などさまざまです。

にゅうの周辺には、「もののけの森」「カモシカの森」「オコジョの森」など、個性豊かな名前がつけられた10もの森が広がります。樹齢数百年といわれるコメツガ、トウヒ、シラビソなどの原生林で、驚かされるのは足元一面絨毯のように敷き詰められた苔。なんと519種類以上もの苔が生息しています。ルーペなどで見て、さまざまな種類の苔の姿を観察してみるのも楽しいでしょう。まるで映画の世界のような美しい森の中には、白駒池が清水をたたえ、春から秋にかけて多くの人が訪れます。

にゅうまでのコースはたくさんあり、最短ルートは北側の白駒池からですが、白駒池に至る一般国道299号(麦草峠)は、毎年冬期は通行止めになっています。そのため、今回は、北八ヶ岳ロープウェイで山頂駅まで登り、縞枯山、茶臼山に登った後、大石峠、麦草峠を通って、全面結氷した白駒池の上を歩き、にゅう山頂を目指します。

白駒池の周辺は、冬の北八ヶ岳の魅力を凝縮したような場所だといわれています。雪に包まれモンスターのようになった木々や、なだらかな雪の斜面、そして氷結して巨大な雪原へ変わった白駒池の上を歩くハイキングは、これまでにない感動を与えてくれるでしょう。白駒池からにゅうまでは初めのうちはなだらかですが、後半になると急な上りが続きます。木々の間から空が見えたら、山頂はもうすぐ。山頂では一気に視界が開け、目の前には絶景が広がります。南側には富士山や硫黄岳、天狗岳、北側には北横岳、縞枯山、雨池など北八ヶ岳という大パノラマはもちろん、また、白い雪を纏った麓の景色もすばらしく、上りきったという達成感もあり、感動もひとしおです。鼻や耳が凍ってしまいそうなほど強烈な冷たい風も心に残る特別な体験となるでしょう。

にゅうからは、高見岩で白駒池の眺望を楽しんだり、渋の湯まで抜けたり・・・思い思いの時間を楽しんで。白い雪に包まれ、静かで美しく、そして雄大な北八ヶ岳の魅力はまだまだ尽きません。

※北八ヶ岳ロープウェイを使用してにゅうへ登る冬山登山は長いコースなので、途中にある麦草ヒュッテや青苔荘など、宿泊できる山小屋を利用するなど、無理のない計画を。

また、初心者は、経験者に同行してもらうか、自治体で行っているスノーハイキングに参加すると安心です。雪や氷に包まれたこの時期は、アイゼンやスノーシューなどの装備が必要です。十分な装備で安全な登山をお楽しみください。

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