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〜おいしいビールのおはなし 03〜

近年はクラフトビールという言葉も定着し、旅先や専門店などで味わったことがあるという人も多いのではないでしょうか。クラフトとは英語で「craft(手工芸)」という意味。小規模な醸造所でビール職人が作った高品質で個性的なビールのことをいいます。作り手の思いやこだわりが強く出るビールといっていいでしょう。

「ここのビールを飲むために、八ヶ岳に来たと言われる存在になりたい」そんな想いを胸にクラフトビールを作り続ける「エイトピークス・ブルーイング」代表の齋藤由馬さん。齋藤さんが手掛けるビールの味は、八ヶ岳のある諏訪地域の食文化や自然に合うように設計されています。

そもそも諏訪地域には古くから鹿肉を食べてきた独特の文化があります。仏教では肉食は禁忌とされていますが、諏訪湖畔にある諏訪大社は狩猟の神として信仰され、毎年上社では鹿の頭を捧げる神事「御頭祭(おんとうさい)」が行われています。また、狩猟が獣を救う手段であるとして、鹿を食べてよいという免罪符「鹿食免(かじきめん)」を頒布。海がないこの地域では、貴重なたんぱく源として鹿肉を食べ、人々は厳しい冬でも生き延びることができました。

近年は諏訪地域周辺のレストランや旅館でも地産地消を意識し、牛肉や豚、鶏のほか、鹿やイノシシといったジビエなど、地元の食材を使用した料理を提供するところも増えています。「エイトピークス・ブルーイング」では定番ビールを肉料理に合わせてしっかりとした重みのある濃い味にも負けない強い味わいに。それでいてくどくなく、淡い苦みをもつ香り高いビールを実現しました。八ヶ岳を訪れて景色を楽しみ、地元の料理とともに味わ うビール。もちろん、それだけで飲んだって絶対的においしい。試行錯誤を繰り返し、他にはない八ヶ岳ならではの唯一無二のビールが生まれました。

また、ネーミングにもこだわりが感じられます。「八ヶ岳は移住者が多いですが、移住してきて、何年かたったときにふと口から方言が出る。そんなときにやっとこの地域に慣れた、馴染んできたと思うんですね。観光で訪れた人にも、方言を知って八ヶ岳を身近に感じてもらえたら・・・」と齋藤さんは語ります。「ヤイヤイペールエール」のヤイヤイは 「おいおい」「Hey / Wow」というような呼びかけや驚きなどを表す言葉、「メタウィートエール」のメタは「すごく」「どんどん」、「サミーデスタウト」のサミーデは「寒いから」という意味があります。スタイリッシュなラベルからは想像できないような、温かい地元の方言を使ったネーミングはユーモアがあり、誰かに話したくなるようなものばかり。地元を愛する齋藤さんだからこそ、生み出すことができた素敵な名前です。

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