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〜おいしいビールのおはなし 02〜

飲み会の席で「とりあえずビール」なんて言葉をよく聞きます。ビールはおいしくて、アルコール度数も少ないので、誰でも気軽に飲めるという意味があるからかもしれません。けれどもビールと一口にいっても種類はさまざま。中には作り手が強い思いやこだわりを持って「とりあえず」の一言では済まされないビールがあることをご存じでしょうか。

「エイトピークス・ブルーイング」は、2018年に誕生したクラフトビール会社です。地元に伝わる食文化や気候に合わせた味わいを追求し、商品名に八ヶ岳周辺の方言を採用、八ヶ岳を現すスタイリッシュなロゴデザインなど、地元への愛が溢れるビールを生み出してきました。2022年には蓼科湖畔に新工場を設立。急成長を遂げている注目の企業でもあります。

「地元で何かしたいと思ったきっかけは、2011年の東日本大震災でした」と語るのは、代表の齋藤由馬さんです。もともと実家は旧丸子町(上田市)にある4代続く切り花農家でしたが、後を継ぐ気はなく、東京の漢方薬製薬会社に就職していたといいます。けれども2011年の東日本大震災により帰郷。輸入の切り花に押されて、存続が難しくなっている切り花農家の現状を目の当たりにし、切り花農家を守っていくためには何か新しいことをしなくてはいけないと考えたそうです。

「花でも口に入れられるものを作りたかった」と語る齊藤さんが行きついたのがビールの原材料であるホップの栽培でした。ホップは、アサ科(旧クワ科)のつる性多年草で、毬花と呼ばれる雌花はビールの主要な原料の一つです。元々ビールが好きだったという齋藤さんはビールの原料となるホップの試験栽培を開始。日本では地下茎が手に入らなかったため、アメリカの園芸会社に直接問い合わせてポピュラーな品種の地下茎を手配し、栽培を成功させました。けれどもホップはビールになってから初めて売れるもの。そこで齋藤さんはビールの勉強をしにドイツに旅立ち、前回ご紹介した心に残るビールに出会います。

ドイツから帰国後は、同じ醸造酒である日本酒の酒蔵などで修業するなど精力的に行動していましたが、故郷である上田でのビール造りはかなわず、縁あって八ヶ岳山麓での開業となりました。そもそも八ヶ岳山麓は冷涼な気候で、日照時間が長く、水はけもよいためホップの栽培には適しており、80年前に日本で初めてホップが栽培された地であったというのも不思議な偶然です。

今年で6期目を迎える「エイトピークス・ブルーイング」。開業してから、ただひたむきに八ヶ岳の大自然とともに楽しむ最高においしいビールを作りつづけてきたという齋藤さん。中でも、新工場のある蓼科湖畔は絶好のロケーションです。蓼科湖の向こうに蓼科山、横岳がそびえる気持ちの良い風景とともに飲むビールは、最高のおいしさであることはまちがいありません。

新工場にて、齋藤さんとご家族

→次回も「エイトピークス・ブルーイング」をご紹介します。

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