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〜蓼科 親湯温泉 寒天のおはなし 01〜

12〜2月、厳寒の長野県茅野。青空の下、きらきらと白く輝く田んぼを見かけることがあります。他では見たことのない不思議な景色。これは、棒寒天になるまえの生寒天を「天日干し」している風景。茅野を含む諏訪地方の冬の風物詩です。

茅野に寒天づくりが伝わったのは天保年間の1830年ごろ、玉川村(現在の茅野市玉川地区)の小林粂左衛門が、関西から寒天製法を持ち帰ったのがはじまりといわれます。けれども寒天の原料はテングサという海藻です。なぜ海のない諏訪地方で作られるようになったのかは、その気候に理由があります。

諏訪地方の名産品として知られる棒寒天は煮溶かしたテングサを固めて、屋外で干すという工程で作られます。この干すという工程で大切なのが、寒暖差です。夜間は−20度になることもあるという茅野では、夜間に凍り、日中は気温が上がって溶けるのを2週間ほどくりかえすことで、水分が抜けて寒天ができあがります。この環境は人工的には作ることができず、また棒寒天は−8度を下回らないと凍らないことから、諏訪地域だけでしか作れないといわれます。また、雨が少なく、乾燥しているため「天日干しにも寒天を乾かす」のにも適しており、テングサを洗うときにも不純物の少ない地下水を使用することでおいしい棒寒天を作ることができます。今や諏訪地域は天然棒寒天の生産量が全国一位。茅野を代表する特産品です。

では、寒天はどのような食品なのでしょうか。寒天に含まれる成分はそのほとんどが食物繊維で、あらゆる食品の中で食物繊維を一番多く含んでいます。食物繊維は大腸内で膨張して便通を良くし、肥満を解消。さらに動脈硬化や糖尿病を予防する効果もあるといわれます。また、カロリーがなく水分を吸うとかさが増すため、満腹感もあるのでダイエットにも最適という、優れた効能効果があるスーパーフードなのです。

寒天の種類は、諏訪地方で作られている棒状の棒寒天のほか、岐阜県で作られている細寒天(糸寒天)、そして工場で作られる粉末状の粉寒天があります。棒寒天は水につけて柔らかくしたり、煮溶かしたりなどする必要がありますが、最近は棒寒天を使用したチップスやゼリー、スープなど、さまざまな商品が登場し、食物繊維を手軽に摂取できるようになっています。「長寿を誇る信州の食」をコンセプトとした蓼科 親湯温泉のショップにも地元茅野で作った多種多彩な寒天商品が並び、おみやげにぴったりと人気を集めています。

茅野市では、12〜2月だけの寒天ツアー「生産者と巡る! 白銀の寒天畑ガイドウォーク」を実施しています。寒天企業イリセンで寒天の製造工程やこだわりを聞き、普段は入れない生産現場を見学。さらに田んぼへ寒天を並べる「天出し」の体験や寒天料理の試食もあり、寒天を身近に感じることができるでしょう。(詳しくはこちら)

長い歴史があり、体にもよく、奥深い寒天の世界。蓼科 親湯温泉に訪れたときは、味わうだけでなく、購入したり、また足を延ばして体験ツアーに参加したり、さまざまな寒天を楽しむことができます。

→次回は、寒天商品をご紹介します。

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