お知らせ

2022.08.12

〜蓼科 親湯温泉 幻の高山茶のおはなし02〜

曲がりくねった山道をぐんぐんと登っていくと、急に視界が開け、驚くような風景が広がっていました。標高300mから400mの山一面に迷路のように広がるくねくねした茶畑。これが天空のお茶畑。日本のマチュピチュと称される春日村(現:岐阜県揖斐郡揖斐川町春日)の絶景です。出迎えてくれたのは、「高山茶」の生産者である中村さよさん。さよさんの指導のもと、「和香茶」のお茶摘み&お茶揉み体験が始まりました。

早速、ズボンの端を靴下の中に入れ、帽子をかぶり、籠を腰に巻いて、茶畑へ。茶摘みには、手で摘む、ハサミで摘む、一人用の機械を背負って摘むという3通りの方法がありますが、「和香茶」の茶摘みはすべて手摘みです。「一芯二葉(新芽とその下にある葉っぱ2枚)を手で摘み取ります。一芯二葉をぎりぎりのラインで摘んでくださいね」とさよさん。茎が多く入ると甘くなりますが、雑味が入ってしまうため、さよさんの茶園では、このような摘み取り方をしているといいます。摘み取り方の違いがそれぞれの茶園によって味わいの特徴が出るところなのでしょう。そんなところも茶園によって個性があるんだなあと感心することしきり。

最初のうちは細いあぜ道を歩くだけでも大変でしたが、次第に慣れてきて作業も素早くなっていきました。おしゃべりをしながら摘むこと1時間半。たくさん摘み取った茶葉はざるに移して、余分な茎を取り除く仕分け作業を行います。素人の私たちはダメ出しをたくさんされ、余計なお手間をかけてしまいました。その後は水分を飛ばすためにシートに広げて、一晩おきます。1日目の作業はここまで。

作業から戻ってくると、さよさんのお茶づくりを手伝っている地元の方が、手作りの草団子をふるまってくださいました。皆さんの優しさ溢れるおもてなしに、会話もはずみ、素敵な時間が過ごせました。

次の日は、朝から茶揉みを行いました。茶揉みは、お茶の細胞に傷をつけることで、お茶の成分が抽出しやすくするために行われます。茶揉みの方法も、手揉みと機械揉みがありますが、「和香茶」はすべてが手揉み。現在はほとんどのお茶が機械で揉まれている中で、「和香茶」がそれだけ貴重なものだということがわかります。

昨日水分を飛ばしておいた茶葉をまとめて麺を伸ばすように前後にコロコロしたり、丸くボールのように固めて円を描くように転がして、茶葉に力を加えて傷をつけます。1時間半ほど揉んでいると、手のひらは痒くなり緑色に、また腰も痛くなってきました。あれだけたくさん摘んだ茶葉はみるみる間に小さくしぼんできてほんの一握りに。なるほど、想像以上にたくさん収穫したつもりになっていても、ほんのちょっとしかお茶にならないのですね~。できあがった茶葉はざるに移して、ぬれタオルをかぶせて蒸らします。

ここからが「和香茶」に加えられるもう一工夫。香りとおいしさが増すもうひと手間がかけられています。それは、さよさんが奇跡的に巡り合った製法、他にはどこにもない唯一無二のおいしさの秘訣です。かつて春日村のお茶を復活させようと緑茶を販売し始めたさよさんですが、なかなか売れず車に置きっぱなしになっていたことがあったそうです。そのお茶を飲んでみたら、車の中の熱が加わり豊かな香りがしたため、焙じてみることに。そのヒントを得て生まれた焙じ茶は、香りが高くおいしいと注目されるようになりました。「和香茶」も香りを出すために適温の熱を加え、熟成というひと手間をかけています。日によって温度や湿度が異なり、毎回若干違う味に仕上がるため均一を求める日本の市場には出回りにくいそうですが、それもよしとしているところが「和香茶」の魅力です。手作りだからこその不揃い感は、おいしいお茶の味を知っている人だからこそできる、今まさに求められている価値なのではないでしょうか。

味は烏龍茶のような、焙じ茶のような、それを混ぜたような、最近少し出回るようになった日本の「和紅茶」とは全く違う味です。ちょっと比べる対象物のない、不思議な力強く香り高く味わい深く、麻薬的に癖になるお茶「和香茶」。実際に春日村を訪れ、さよさんの茶園で時間をかけて手摘み、手もみを行い、さよさんや地元の人たちのお話を聞くことで、改めてこのエリアで連綿と続いてきた高山茶の素晴らしさを実感することができました。

誤魔化しのない、日本の大地で育まれてきた力強い味のお茶です。さよさんの「高山茶」は親湯温泉3店舗の売店で販売しておりますので、お泊りにいらしたら是非お試し下さいね。

※お茶の種類は、高山緑茶、高山ほうじ茶、甘ほうじ茶、和香茶がございます。
「和香茶」は姉妹館「萃sui-諏訪湖」でのみ販売しております。

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