主の独り言

2018.04.14

みすず書房コーナ設置 茅野市出身創業者小尾俊人先生の歩み

4月26日のリニューアルオープン時には、
蔵書Lounge&Barコーナーのメインに
みすず書房コーナーを設置する。
これは、岩波文庫の回廊に次ぐ取り組みであり、
今度のリニューアルの目玉の一つとなっている。
みすず書房の創業者小尾俊人先生は
蓼科 親湯温泉がある茅野市出身者。
同じ茅野市の人間として、
みすず書房コーナーを設置する事を嬉しく思っている。

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(名著夜と霧の編集は創業者小尾先生)
蔵書Lounge&Barの一番メインに設置する
みすず書房コーナー
是非お立ち寄りください。
■みすず書房創業者 小尾先生プロフィール
茅野を代表する偉人のひとり
みすず書房創業者
小尾 俊人(るび:おび としと)(1922~2011年)
みすず書房の創業者。1922年に現茅野市に生まれる。長野県岡谷工業高校卒業後、上京して大学夜間部に通いつつ出版業界に身をおくも、21歳で学徒出陣。敗戦の年に23歳で復員し、その年の暮れ、焼け野原の東京で新たな出版社を始める。創建当時、みすず書房は美篶(るび:みすず)書房という名であった。その名の由来は、信濃にかかる古代の枕詞「みすず刈る」にあり、荒野に生い茂る篠竹を歌った人の姿が、「物」を「文」に化そうとする出版のシンボルにふさわしいと考えたという。小尾は、敗戦後に抱いた出版への強い思いを「日本の文化をさらに高め、理性的なものの考え方を広く民衆に徹底しなければならない。真理を愛し、美しいものを感じ、深いものに憧れる、その心情をこの上なく尊いものとする」と表し、1946年に刊行された片山敏彦『詩心の風光』を手はじめに、三次にわたる『ロマン・ロラン全集』、『原色版美術ライブラリー』、そして20世紀を代表する多くの人文科学・社会科学・精神医学の書籍を世におくった。ヴィクトール・フランクルがアウシュビッツの極限状況における人の偉大と悲惨を著した『夜と霧』は、原題『一心理学者の強制収容所体験』であったが、小尾は『夜と霧』に変えて1956年に発刊。初版刊行から約50年を経た今も、常に新たな読者を獲得するロングセラーである。また小尾は「出版は歴史の証言者でもあるべき」という考えから、「20世紀最大のスパイ事件」と謳われる太平洋戦争開戦前の『ゾルゲ事件』を、自ら編んで『現代史資料』第1巻とし、計4巻にわたるゾルゲ事件関係巻を刊行した。最終的に『現代史資料』は、『続・現代史資料』12巻を含む、全58巻の長大なシリーズとなった。
世紀のベストセラー『夜と霧』誕生前夜
ユダヤ人としてアウシュビッツの強制収容所に囚われた極限状態を語ったヴィクトール・フランクルの原題『一心理学者の強制収容所体験』に、小尾が書名として採用した「夜と霧」。これは、第二次大戦ドイツ占領下あったフランスでのレジスタンスを取り締まるため、ヒットラーが夜間秘密裡に容疑者を捕らえ、強制収容所に送ったという作戦名であった。小尾は、概してインテリほど心的崩壊が早かった天皇制下の軍隊における精神的荒廃を、『夜と霧』のフランクルが、知性者ゆえの強靭な耐忍の誇りを見せた姿と対比的だとしている。
略歴
1922(大正11年) 現・長野県茅野市豊平に生まれる。
1940(昭和15年) 長野県岡谷工業高校卒業。岩波茂雄の紹介を受けて羽田書店に入社、現・文京区本郷に下宿し、複数の大学夜間部で学ぶ。
1943(昭和18年) 学徒出陣
1945(昭和20年) 敗戦後復員。12月に和田篤志、山崎喜久夫とともに出版社設立準備開始
1946(昭和21年) みすず書房1冊目の出版として片山敏彦『詩心の風光』刊行、『ロマン・ロラン全集』刊行開始
1955(昭和30年) 庄野潤三『プールサイド小景』刊行、『原色版 美術ライブラリー』刊行開始
1956(昭和31年) ヴィクトール・フランクル『夜と霧』刊行
1960(昭和35年) レイモン・ペイネ漫画選『〈ふたり〉のポケットブック刊行
1962(昭和37年) 『現代史資料』第1巻『ゾルゲ事件』刊行
1990(平成2年) みすず書房退任
1994(平成6年) 『本が生まれるまで』築地書館を著す
2011(平成23年) 逝去。享年89歳

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