長野県 蓼科 高原 蓼科 温泉 ホテル親湯





私は、現在63歳の調理人です。
現在親湯の魅力に惹かれこの場所で料理場を預かっております。

なぜ、私が親湯にいるのか・・・・・

その理由をこれから少しお話させてください。
今から35年前私は大阪万博の一レストランの調理長として大阪にいました。
50人のシェフを従え毎日約3000人のお客様にお食事を提供していました。

その後、東京都 銀座で100人のスタッフを従える高級フレンチレストランを任され日々、経済界 財界人の方々に食を提供しておりました。
故 松下幸之助様も常連様の一人でした。 ステーキが大変お好きな方で毎回ご注文されてました。

ところがある日、いつもはウェルダン(肉を良く焼くこと)でご注文されるのですが、この日は「生で食べたい」と申し付けられましたので、最高級の肉をレアでお出ししました。大変おいしかったと褒められましたが、秘書の方に後でこっぴどく私は怒られたのです。

なぜ怒られたのか・・・

要するに会社にとっての大事な方が食あたりになっては困ると言う事からです。
そんな逸話が今でも懐かしく思い出されます。





高級店を任され日々緊張の連続でしたが、お蔭様でお客様も増えお店としては大変繁盛し、その当時のオーナーからは大いに期待されていた40歳の春でした。

そんな私が、なぜ蓼科の親湯と言う温泉旅館にいるのか・・・。

蓼科温泉ホテル親湯は創業85年の老舗です。 バブル期には毎日団体客が大勢来ていたそうです。バブル崩壊後・・ご存知の通り旅館業は衰退していきました。
親湯も例外ではなかったのです。
毎年、毎年、お客様の数が減り6年前にはピーク時の3分の1までお客様が減ったようです。

実はその当時私は蓼科でペンションを営んでおりました。
脱サラし好きな料理を作り、自然に囲まれた生活がしたかったからです。
テレビも置かないペンションでした。 料理だけを目当てのお客様で毎日が満室になる・・。10室だけでしたが1年通して広告は1回も出した事はありませんでした。それが今でも自慢です。

今から4年前の大雪の日 朝7時・・・親湯の柳澤専務から1本の電話がかかってきたのです。
今でも良く覚えています。

「芹澤さん・・・親湯で最後の一花咲かせませんか?」

・ ・・・建物は小さいと言えども1企業のトップに向かってこの態度。 私は激怒しました。
当然、お断りしました。

半年後、ペンションも建物の老朽化も進み建て替えを余儀なくされる時期が来ました。
当然私はまだ働けましたし気力も十分ありましたので建て替えを決断したのです。

その1週間後
「芹澤さん・・・いかがですか? 一緒に親湯を再建しませんか? 
私の夢を叶えるにはあなたが必要です!」 また、親湯の柳澤専務から電話がありました。

その時もお断りしましたが・・・。

【 夢 】・・
しばらく聞いていなかった言葉でした。
その時私の心の中に大きな変化があった事は今でも忘れられません。

自分を必要としてくれる環境がまだあった事。
20代の若者が対等に仕事を一緒にしようと言ってくれた事 私にはまだ気力も体力もあった事 そして 私はまだ完全燃焼していないことに気づいた事 半年後・・・ 私は親湯の調理長として温泉旅館の一員になりました。

私の使命はただ一つ。

「親湯の専務がお客様に食べさせたい料理を形にする事」 それだけでした。

今までの親湯は、いわゆる【会席料理】と言われる宴会料理を全お客様にご提供していました。

なぜ旅館では会席料理なのか・・・ 答えは簡単です。

さめても食べられるからです。また、内容はお酒のつまみであり品数が何よりも重要視されている現状でした。

柳澤専務はその旅館の既成概念にNOを突きつけたかったのです。
どこに行っても同じ料理。 これが当時の旅館の姿でした。

メニューは専務自身が作ります。
お客様が食べたいもの・・・それだけを毎日考えているように見受けられます。
私はそれを形にし、決められた原価に収める事が仕事です。

すごく面白いです。
人が考えた料理を作ると言うことは修行時代しかした事が無かったことです。しかも・・。



柳澤専務は食の素人です。
一般のお客様に近い感性から発案されるメニューの組合せや調理法などプロから見て???の物もあるのです。
しかし、それがお客様には大変効果的である事も学ばせていただきました。

今では大好評の【スープカレー】旅館で出すところなんてありますか?私も当時大反対したものです。

専務の考え方は「旅館ではこういうものを出すべきだ。出さなければ・・・」と言う考え方は皆無の方です。
「これお客様に出したら喜ぶぞ〜」 が口癖の方です。
ですから親湯の調理場は、「料理とはこう言うものです!」 と言うことは決して言うことはありません。
専務の発案する料理をお客様においしく食べていただけるよう知恵を絞り形にする事を全員理解しております。

作るのではなく【創る】事が親湯の調理場は他とは違うかもしれませんね。

最後に・・・。 私達親湯の調理場は、お客様に対し既製品を使用する事は一切ございません。
なぜなら、そこには愛情が無いからです。


わざわざ時間と距離を越えて蓼科まで来ていただけるお客様に愛情を感じていただきたい・・・その為の手間をかけるなのです。

すべて調理人の手作業でお食事を提供します。
たまに不恰好な物もあるかもしれませんが笑ってお許し下さい。

追伸
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飲食部 マネージャー  芹澤秀幸

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