主の独り言

2016.01.28

海馬と扁桃体

我が家の小僧とスキーに行くようになって
何年経っただろうか・・・。
小僧達もだいぶ上達し、僕と同じようなスピードで
コブ斜面以外は滑れるようになった。
父親の醍醐味というものを満喫させていただいている。
そして、遠征と称して違うスキー場に出かけた。
そこは、長野県でも有名なスキー場。
平日で空いていて、スキーを楽しむ環境としては最高であった。
小僧達が、コース図を見て選んだコースは
最大斜度30度のコース。
ホームゲレンデのスキー場でも同じ斜度のコースもあるので
問題ないと考えそちらを滑ることに。
コース頂上に着き、小僧達はどんどん滑っていく。
斜度がきついので、深く回りながら滑り降りていった。
僕も滑ろう・・・
と思ったその時、僕の身体が恐怖を感じる。
急なことだった。
そして、嫌―な記憶がよみがえる
このスキー場のこのコース。
大学時代、滑走中に同じく滑走中の人と衝突し
パトロールの世話になるほどの事故を起こしたその場所だったのだ。
全く、忘れていた事が、その場所に立っただけで
身体が恐怖と共に教えてくれたのだ。
脳科学的に言えば、記憶を司る海馬がすぐ近くにある感情を司る扁桃体を刺激したのであろう。
もう、僕の身体は怖さで緊張し、固くなり滑るどころではなくなった。
それほど事故の痛みは強烈だったという事だろう。
すっかり忘れていたが、担架で運ばれた事を思い出した。
恐怖という感情は、生命進化の中で
生きるために必要な感情として発達したと聞く。
記憶は、感情に色づけされたものを記憶しやすい。
まさに僕は、恐怖で色づけられたこの場所を危険であると記憶したのだろう。
結局、降りるまでに掛かった時間は約10分ほど。
その間、下で待っていると思われた小僧達はそこには居なくなっており、
探す羽目になった。
広大なスキー場、
探すのに、パトロールにお願いする羽目になってしまったことは
なんだか複雑な心境なのであった。

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